スタッフサービス・エンジニアリング様向け

ハンズオンの進め方

講師が画面を出しながら1手ずつ進めます。同じ操作を手元でなぞってください。追いつかなくなったら手を止めて声をかけてください。

2026年9月18日(金) 全 [120min] 機電系エンジニア(1〜3年目中心) オンライン(ZOOM)
Givery, Inc.

使う道具と役割

図面のような画像は Gemini に、出典をたどりたい文書は Gemini Notebook(旧 NotebookLM) に渡します。どちらもブラウザだけで動きます。当日読ませるのは配布したダミーの資料だけです。

当日選ぶモデルは 3.6 Flash を想定しています。モデルの名前は入れ替わりが早いため、当日は入力欄の上にある一覧から、表示されているものをお使いください。

演習1 機械図面から手配メモをつくる

どんな場面か あなたは部品の手配を担当しています。図面を受け取ったら、材質と数量、公差の指示がある寸法、表面粗さの指定を拾って加工先に渡すメモを書きます。拾い漏らすと作り直しになるので、毎回、図面の隅まで目で追っています。この読み取りを AI に下書きさせて、自分は確認だけをする形に変えます。
使うファイル01_機械図面/軸受ブラケット_DRW-2026-018.png(配布フォルダの中)
使うツールGemini(ブラウザ版)
つくるもの加工先に渡す手配メモの下書き。画面に出た文章をコピーして手元に保存します
目安の時間[25min]

演習1の手順

1. Gemini を開き、入力欄の から ファイルをアップロード を選び、上の表の図面を添付します。

2. 続けて、拾ってほしい項目を順番に並べて頼みます。「この機械図面を読んで、加工する人に渡す手配メモを作ってください。材質と数量、公差の指示がある寸法、表面粗さの指定を、この順に箇条書きで拾ってください。図面に書いてない項目は『図面に記載なし』と書いてください。」

3. 返ってきた内容を、図面と1項目ずつ見比べます。合っているかを確かめるのはここです。AI の答えを読むだけで終わらせないでください。

4. 拾い方を変えたいときは、頼み方に1行足してもう一度送ります。たとえば「注記の欄も読んでください」「単位を必ず付けてください」などです。

Gemini に機械図面を添付して手配メモを作らせた画面。材質や公差が箇条書きで並んでいる
図面を1枚渡すと、材質・公差・表面粗さが箇条書きで返ります。図面に書かれていない項目は「図面に記載なし」と返っているところまで含めて確認してください。
できたと判断する基準 次の3つをすべて満たしていれば完了です。
1. 材質が SS400、はめあいが φ22 H7 として出ている
2. 一般公差が ±0.2 / ±0.3 / ±0.5 の3段で、寸法区分とセットで出ている
3. 数量と表面粗さが 「図面に記載なし」 と返っている(この図面には書かれていないため)
3つ目でつまずいたとき 表面粗さについて、注記の「表面処理 ユニクロめっき」を粗さの指定として答えてくることがあります。これは表面処理であって粗さの指定ではありません。書かれていないものを、近い言葉で埋めてしまうのが、図面を読ませるときにいちばん起きやすい失敗です。頼み方に「粗さの記号がない場合は記載なしとしてください」と足して、もう一度試してください。
読み取り自体を外すときは、図面を1枚まるごと渡すのをやめて、見たい箇所だけを切り出して渡すと当たりやすくなります。小さい文字、細い引き出し線の先、重なった寸法線のあたりが弱くなります。

演習2 回路図の記号と結線を読ませる

どんな場面か 引き継いだ設備の回路図を前にしています。記号は見覚えがあるものの、どれが何で、どういう順につながっているのかを言葉にするのに時間がかかります。まず AI に説明させ、自分の理解と食い違うところを探します。
使うファイル02_回路図/制御回路図_CIR-2026-005.png
操作Gemini の新しいチャットで回路図を添付し、「この制御回路図を、主回路と操作回路に分けて説明してください。記号ごとに何の部品かも書いてください」と送ります
目安の時間[10min]
できたと判断する基準 次の3つが説明に入っていれば完了です。
1. 主回路の並びが QF1 → MC1 → THR → INV1 → モータ の順で出ている
2. PB2 と並んでいる接点が MC1 の自己保持 だと説明されている
3. EMS が b接点(ふだん閉じている)で、押すと回路が切れて止まると説明されている
ここは自分で判断してください 2番の自己保持は、線のつながりを追えないと間違えます。接点の並びを言葉で説明させると、読み違いがその場で表に出ます。説明が自分の理解と食い違ったときに、AI が正しいと決めつけないでください。図で確かめられるのは図だけです。

演習3 技術文書QAボットをつくる

どんな場面か 装置の仕様書と点検手順が別々の PDF になっていて、異常が出るたびに両方を開いて探しています。この2冊をまとめて置いておき、質問すると出典つきで答える窓口を作ります。
使うファイル03_仕様書/検査装置_IN-450_仕様書.pdf04_点検マニュアル/検査装置_IN-450_点検手順.pdf
使うツールGemini Notebook(旧 NotebookLM)
つくるものノートブック「技術文書QAボット」。自分の Google アカウントの中に残ります
目安の時間[20min]

演習3の手順

1. Gemini Notebook を開き、ノートブックを新規作成 をクリックします。

2. ソースを追加 から ファイルをアップロード を選び、上の表の PDF を2つとも入れます。読み込みが終わると、左の一覧にファイル名が並びます。

3. 上部のタイトルをクリックして「技術文書QAボット」に変えます。

4. 下の入力欄から質問します。「異常コード A-102 が出たときの内容と対処を教えてください。」

5. 答えの横に付いた小さな番号をクリックします。元の資料のどこに書いてあったかが開きます。この番号をたどるところまでが1往復です。

回答に付いた出典番号をクリックして、仕様書の該当箇所が左側に開いている画面
答えの横の番号をクリックすると、引用元の一節と、元の資料の該当箇所が開きます。合っているかを確かめる作業が、資料を探し直さずに終わります。
できたと判断する基準 次の3つをすべて満たしていれば完了です。
1. A-102 の質問に、照明の光量低下保全課へ連絡 という趣旨の答えが返る
2. 答えに出典の番号が付いていて、クリックすると仕様書の該当箇所が開く
3. 「異常コード A-999 が出たときの対処を教えてください」と存在しないコードを聞くと、記載がないという趣旨の答えが返る(作り話をしない)
2つの道具の使い分け Gemini Notebook も画像を扱えますが、Google は「特定の種類の画像は正常に機能しない可能性があります」と案内しています。図面については、当日その場で読める図と読めない図の差を見ていきます。(Gemini Notebook で追加できるソースの種類

プチ演習 用語を調べてまとめさせる

どんな場面か 演習1の図面に φ22 H7 という指示がありました。読めはするが、なぜ H7 なのか、小文字の h7 と何が違うのかを人に説明できるかというと怪しい。こういう用語を、その場で調べて自分の言葉にします。ここは配布ファイルを使わず、資料を集めるところからやります。
使うものファイルは使いません。Gemini Notebook のウェブ検索で集めます
つくるものノートブック「はめあいの下調べ」。自分の Google アカウントの中に残ります
目安の時間[10min]

1. Gemini Notebook で ノートブックを新規作成 を押します。

2. 左上の ウェブで新しいソースを検索 の欄に、調べたいことをそのまま書いて送ります。

「はめあい公差の H7 とは何か。小文字の h7 との違いも知りたい」

3. 候補が出たら インポート を押します。

Gemini Notebook のウェブ検索が完了し、はめあい公差に関するページの候補とインポートボタンが出ている画面
検索が終わると候補が並びます。インポートを押すと、これらが読ませる資料になります。

4. 下の入力欄に、誰に向けた説明かを添えて頼みます。

「はめあい公差の H7 とは何かを、図面を読み始めた新人に説明するつもりで、箇条書き5つにまとめてください。小文字との違いも入れてください。」

5. 答えに付いた小さな番号を押して、どのページから来た話かを確かめます。

集めた資料をもとに はめあい公差 H7 を5つの箇条書きにまとめた回答。各文に出典の番号が付いている
集めた資料の中だけから答えます。文の後ろの小さい番号が出典で、押すと元のページの該当箇所が開きます。
できたと判断する基準 次の3つをすべて満たしていれば完了です。
1. 大文字が穴、小文字が軸を表す、という説明が入っている
2. H が公差の位置、7 が精度の等級という趣旨の説明が入っている
3. 文の後ろに出典の番号が付いていて、押すと元のページが開く
ここで気をつけること 集めてきたのは公開されているウェブページで、規格そのものではありません。数値の細かいところは、必ず手元の規格表か社内の基準で確かめてください。この使い方が向いているのは、調べる取っかかりを作るところまでです。

デモ 点検チェック表をつくる

ここは講師がやってみせます。手順は下に書いてあるので、あとから同じことができます。

演習3で作ったQAボットを、質問に答えるだけで終わらせず、現場に貼れる紙にするところまでつなげます。

1. 演習3のノートブックで、こう頼みます。

「日常点検で見る項目を、現場に貼るチェック表の形でまとめてください。項目と、見るところと、だめなときの目安を並べてください。」

2. 返ってきた表の下にあるコピーのボタンを押します。

3. Gemini を開き、入力欄の から Canvas を選びます。

4. 頼みごとを書いてから、改行してさっきコピーした中身を貼り付けます

「これは検査装置の日常点検の内容です。現場に貼るチェック表を、一枚のページにまとめてください。チェック欄を付けて、白背景の印刷しやすいページにしてください。」

Canvas で作られた IN-450 日常点検チェック表。点検項目と見るところとだめな目安が表になり、OK NG 欄とチェック欄が付いている
点検手順の PDF が、そのまま現場に貼れる1枚になりました。OK / NG の欄、緊急連絡先、月間の記録欄まで入っています。ここまで、書いた命令は日本語の2文だけです。
このデモで見てほしいところ 読む、聞く、紙にする。この3つが、道具を渡り歩きながら日本語の指示だけでつながっています。元になっているのは配布した点検手順の PDF なので、担当装置の手順書に差し替えれば、同じものが自分の現場でも作れます。ただし出てきた表は下書きです。現場に貼る前に、判定基準が手元の基準と合っているかを必ず確かめてください。
Canvas が選べないとき もし灰色で選べない または 選択肢が出てこない方は、使用できない場合がございますので、講師の画面を見るのみとしてください。

もう少し進めたい方へ

時間が余った方は、次のどちらかを試してください。どちらも本編の進行には影響しません。

ひとつ目。デモで作ったチェック表を、そのまま「週次点検の分も同じ形で作ってください」と続けてみてください。一度形が決まると、あとは差し替えで増やせることを確かめます。

ふたつ目。演習1の図面をもう一度渡し、「この部品を発注するときに、図面だけでは決まらない項目を挙げてください」と聞いてみてください。足りない情報を挙げさせるという使い方ができるかを確かめます。

作った設定を手元に残す

研修が終わる前に、ノートブックに入れた資料の一覧と、うまくいった質問の文をテキストで保存してください。9月9日にアシスタントを作った方は、その指示文もあわせて保管しておいてください。資料と文章さえ手元にあれば、同じものをいつでも作り直せます。